光脱毛は、肌に光を当てるだけでムダ毛を少しずつ減らしていく方法です。針も薬も使わないのに、なぜ毛に変化が出てくるのでしょうか。
答えの鍵は、毛の「黒い色」にあります。ここでは、光が毛に働きかける仕組みを皮膚科学の論文や医学解説書をもとにひもといたうえで、IPL方式と蓄熱式(SHR)の違い、クリニックの医療レーザー脱毛との違い、白髪やうぶ毛への反応まで順番に見ていきます。高崎市で光脱毛サロンを営む私たちHADA CARE(ハダケア)が、2つの方式をどう使い分けているかもお伝えします。
光は、毛の「黒い色」をめがけて届く
光脱毛の土台になっているのは、「選択的光熱融解(selective photothermolysis)」という考え方です。1983年に科学誌『Science』で、アンダーソンとパリッシュという2人の研究者が発表しました。
論文の要点は、特定の色に吸収されやすい光を、ちょうどよい短さのパルス(瞬間的な光)で当てると、その色を持つ組織だけを選んで熱のダメージを与えられるというものです。細かく狙いを定めなくても、組織ごとの光の吸収しやすさや熱の伝わり方の違いが、的を選び分けてくれるとされています。
脱毛で「的」になるのは、毛に含まれるメラニン(黒や茶色の色素)です。米国の国立生物工学情報センター(NCBI)で公開されている医学解説書『StatPearls』によると、メラニンは300〜1200nm(ナノメートル)という幅広い波長の光を吸収します。毛そのものや、毛をつくる毛母のあたりはメラニンが特に多い部分で、そこで光が熱に変わり、周りの毛包(毛を包んでいる組織)へ熱が伝わっていきます。これが、光で毛に働きかける基本の仕組みです。
肌の色が濃いと、肌も光を受け止めてしまう
同じ理屈で、肌の側にメラニンが多いと、光は肌にも吸収されやすくなります。米国皮膚科学会(AAD)も、レーザー脱毛は「明るい色の肌と濃い色の毛」の組み合わせで最もよく働くと説明しています。
日焼けで肌が黒くなるのは、紫外線の刺激を受けたメラノサイト(色素細胞)がメラニンを大量に作るためです(日本皮膚科学会)。当サロンが日焼け直後の施術を見送り、肌が落ち着いてからご来店いただいているのは、この仕組みがあるからです。
IPL方式と蓄熱式(SHR)はどう違う?
光の当て方には、大きく2つの考え方があります。しっかりした光を1回ずつ当てる方法と、弱めの光を何度も重ねて少しずつ熱を加えていく方法です。サロンの光脱毛でいえば、前者の代表がIPL方式、後者が蓄熱式と呼ばれる方式です。
IPL方式:幅のある光を、フラッシュのように当てる
IPLは「Intense Pulsed Light」の略です。フラッシュランプから、波長のそろっていない幅広い光(おおむね500〜1200nm)を強いパルスで放ちます。フィルターを付け替えることで、使う波長の幅を絞ることもできます。
医療機関で使われるレーザーは、ルビー(694nm)、アレキサンドライト(755nm)、ダイオード(810nm)、Nd:YAG(1064nm)のように、機器ごとに決まった1つの波長の光を出します。これに対してIPLは光の幅が広く、1回で照らせる範囲も大きいのが特徴です(StatPearls、米国の皮膚科専門誌JCADの総説)。
蓄熱式(SHR):弱めの光を重ねて、じわじわ温める
「SHR」という名前は、医療用ダイオードレーザーの照射モードの名前として論文にも登場します。2009年に米国の皮膚科専門誌で報告された研究では、低めの出力(5〜10J/cm²)の光を1秒間に10回のペースで出し、ハンドピースを動かし続けながら何度も重ねる方法と、高い出力(25〜40J/cm²)で1回ずつ当てる従来の方法を、25人の左右の脚で比べました。
その結果、5回目の施術から6か月後の毛の減り方は両者で同程度でした。一方で、動かしながら重ねる方法のほうが施術は早く、痛みも有意に少なかったと報告されています。
ただし、これは医療用レーザーでの研究です。サロンの光脱毛とは機器も出力も違うので、同じ結果がそのまま当てはまるわけではありません。「弱めの熱を重ねていく」という考え方の参考として受け取ってください。当サロンで使っているT-SHR方式も、熱を少しずつ蓄えていく蓄熱式の方式です。
| IPL方式 | 蓄熱式(T-SHRなど) | |
|---|---|---|
| 光の当て方 | しっかりした光を、1回ずつパルスで当てる | 弱めの光を連続して出し、動かしながら何度も重ねる |
| 熱の加わり方 | 一度にまとまった熱が加わる | 少しずつ熱を積み重ねていく |
| 当サロンでの主な使い道 | 顔やVIOのしっかりした毛、うぶ毛 | 腕や脚など広い範囲 |
出典:StatPearls「Laser Hair Removal」、Braun M.(J Drugs Dermatol, 2009)をもとに作成。使い道は当サロンの方針です。
どちらが優れている、という話ではありません。毛の太さや量、部位の広さによって向き不向きがあるので、当サロンでは部位や毛質に合わせて使い分けています。スタッフブログの「IPL方式とT-SHR方式どう違うの?」でも紹介しています。
サロンの光脱毛と、医療レーザー脱毛の違い
光を使うという点では同じでも、サロンの光脱毛とクリニックの医療レーザー脱毛は、法律上の位置づけがはっきり分かれています。
厚生労働省の通知(平成13年11月8日 医政医発第105号)は、機器が医療用かどうかにかかわらず、レーザー光線などの強いエネルギーを持つ光を毛根部分に照射して「毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為」を、医師免許のない人が業として行えば医師法違反になるとしています。医療機関のレーザー脱毛は、この医療行為として医師のもとで行われるものです。
サロンの光脱毛は、医療行為にあたらない範囲で光を当て、回数を重ねながらムダ毛を目立ちにくくし、自己処理をラクにしていくことを目指すケアです。目的や予算、痛みへの不安、通えるペースに合わせて選べばよく、どちらかが正解ということはありません。契約や支払い方法の面からの違いは、コラム「群馬で脱毛サロンを選ぶ前に」にくわしくまとめています。
白髪やうぶ毛には反応する?
白髪には、光の目印がない
毛が黒いのはメラニンがあるからです。東京大学医科学研究所の西村栄美教授は、メラニンは毛根にある色素細胞が作っていて、加齢などで色素細胞が作られなくなるとメラニンが供給されず、毛が白くなると説明しています。
光脱毛は、そのメラニンを目印にしています。米国皮膚科学会は、レーザー脱毛は金髪・白髪・グレーの毛・赤毛には効かないとしており、JCADの総説でも金髪はIPLやレーザーにふつう反応しないとされています。光脱毛で白髪を減らすのは難しいと考えてください。
ひげやVIOに白髪が混じり始めた方は、黒い毛が残っているうちのほうが、光が反応する毛は多いということになります。スタッフブログの「白髪には反応しない?脱毛と『黒い色』の不思議な関係」もあわせてご覧ください。
うぶ毛は、反応しにくい毛
顔や背中のうぶ毛は、細くて色も薄い毛です。医療レーザーの分野でも、うぶ毛はメラニンがほとんどないため減らしにくいとされています(JCAD、2022年の総説)。
当サロンでは、顔などのうぶ毛にはIPL方式を使っています。ただ、しっかりした黒い毛に比べると光は反応しにくく、変化の感じ方には個人差があります。
また、まれにですが、光を当てたあとにかえって毛が増えたり濃くなったりする「硬毛化(多毛化)」という現象も、医学の資料で報告されています。回数を重ねるなかで気になる変化があれば、次の施術の前に遠慮なくご相談ください。
私たちHADA CAREの使い分けと、施術で気をつけていること
当サロンでは、顔やVIOのしっかりした毛やうぶ毛にはIPL方式、腕や脚のような広い範囲にはT-SHR方式と、部位や毛質に合わせて2つの方式を使い分けています。同じ全身脱毛でも、場所によって光の当て方を変えているということです。
痛みの感じ方には個人差がありますが、目安は「輪ゴムで弾かれる程度」です。出力は調整できるので、熱さや痛みが気になったときは、その場で遠慮なくお伝えください。
冬の群馬は、上州のからっ風で空気が乾きます。気象庁の平年値では、前橋の1月の平均湿度は54%です。ジェルの冷たさに身構えてしまう季節ですが、当サロンでは温かいジェルを使っているので、冬でもひんやりしにくくなっています。仕上げには拭き取り不要の保湿ジェルを使います。
完全予約制の完全個室で、マンツーマンで対応しています。お支払いは完全都度払いで、コース契約や回数券の勧誘は一切していません。メニューの詳細は光脱毛【全身/顔/VIO】のページをご覧ください。
まとめ
この記事のポイント
- 光脱毛は、毛のメラニンに光を吸収させて熱に変える「選択的光熱融解」の考え方にもとづいている
- IPL方式は幅のある光をパルスで当て、蓄熱式は弱めの光を重ねて少しずつ熱を加える
- 医療レーザー脱毛は医師が行う医療行為、サロンの光脱毛は医療行為にあたらない範囲のケア
- 白髪には光がほとんど反応せず、うぶ毛も反応しにくい
仕組みがわかると、日焼けを避けてほしい理由や、部位によって方式を変える理由も見えてきます。「自分の毛にはどちらの方式が合うのか」「この白髪まじりのひげはどうなのか」など、気になることは施術の前に何でも聞いてください。
参考資料
- Anderson RR, Parrish JA. Selective photothermolysis: precise microsurgery by selective absorption of pulsed radiation. Science. 1983;220:524-527
- Vaidya T, Hohman MH, Kumar DD. Laser Hair Removal. StatPearls(NCBI Bookshelf、2023年7月25日更新)
- Goldberg DJ. Current Trends in Intense Pulsed Light. The Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology(2012年)
- Braun M. 低出力・高繰り返し照射と高出力照射の810nmダイオードレーザーを脚の左右で比較した研究. Journal of Drugs in Dermatology. 2009;8(11 Suppl):s14-7
- 厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「日焼け Q4 日焼けはどうして起こるのですか?」
- American Academy of Dermatology「Laser hair removal: FAQs」
- American Academy of Dermatology「6 ways to remove unwanted hair」
- 東京大学「歳を取るとどうして白髪や薄毛になるの?→西村栄美|素朴な疑問vs東大」(2022年11月22日)
- Goel A, Rai K. Methods to Overcome Poor Response and Challenges of Facial Laser Hair Reduction. The Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology(2022年)
- 気象庁「前橋 平年値(年・月ごとの値)」